第1回テーマ:知っててトクする!「岡山の不動産」
【今回のお客様】 
渡辺 努 氏(ナベショウ岡山 代表取締役)
大学卒業後、MDI(現レオパレス21)入社。バブル真っ盛りの最中、投資という入り口から不動産業界に。帰岡後、(株)創商・不動産部を任され、地元岡山・倉敷での豊富な業界経験と幅広い人脈を構築。その後独立、ナベショウ岡山を設立し、現在に至る。
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――まずは、岡山の不動産業界の動向を今、どう読む?
渡辺氏)去年くらいから実感として感じるのは、大きな変化ということですね。岡山でも住居系のファンドバブル、分譲マンションの過剰提供による影響で、数年前に9割程度だった入居率が7割程度に下がってきていると言われています。
今後分譲マンションの空室率が高くなると、投資しているお客様もそういう分野から撤退するでしょうし、そうなると金融機関も融資に消極的になり、将来的に不動産業界全体に影響を及ぼすことになります。
福嶋)渡辺さんの言うとおり、不動産業そのものが無茶苦茶に難しい時代に入ってきているというのが事実だね。
渡辺氏)建築規制緩和と言いながら非常に建築確認が厳しくなるのと同様に、不動産業者の確認作業も非常に煩雑になっている。その問題は今、自分にとっても重大なテーマになっています。
福嶋)そう、我々不動産業者にとってというだけでなく、結局はお客様への影響も大きい。
―― 先日「路線価」が発表されましたが?
福嶋)岡山県で言えば、中心部は少し上がり、郊外がかなり下がって直近では±ゼロ。土地が上がったのは平成4年までで、5年からはずっと値下がり傾向。ここ2~3年は土地によっては値上がりしたけれど、それでも高いときから60%くらい下がっています。
路線価は1月1日時点の評価を今年で言えば7月1日に発表しているわけで、7ヶ月のタイムラグがある。今年2月3月から地価はかなり下がっているはずだから、来年の路線価は下がるでしょうね。
渡辺氏)岡山は去年の夏くらいからファンドバブルがはじけましたね。
全国的に見ても、福岡あたりはすごく下がると思いますよ。
東京大阪福岡は直近でも上がっていますが、中国人にしてもロシア人にしても、もう東京しか買いに来ないですから。来年、再来年はもっと下がる。
―― 岡山も下げが続く?
渡辺氏)下がるでしょうね。マンションの着工がもう出来ないので。
なぜマンションの着工が出来ないかと言うと、まず、先ほど少し触れた建築確認の問題が深刻なんです。耐震基準が厳しくなったのはいいが、検査がすごく厳しくなってその度に工事が止まる。工期が長くなって人件費が高くなる。現場に資格者が多く必要になると、建設会社は受注をコントロールせざるを得ない。大手ゼネコンで2割から3割建築費が上がっていて、もう経済設計が出来ないということなんです。
福嶋)昔だったら“土地は腐らない”ということだったが、土地だけで持つ時代が終わってしまった。今はどんなにいい場所にあっても更地ではだめ、しっかりした建物だったら有る方がいいという考え方。利用されていて家賃が上がるというものの方がいい時代になってきたけれど、建物が建てられないとなると・・
渡辺氏)銀行はそういう事にものすごく敏感ですね。
以前は銀行自体がたくさん不動産を所有していた。岡山の銀行でも、寮や支店長の社宅なども全部売ってしまっていますよ。
福嶋)銀行自身が出来るだけ財産を持たず個別にレンタルするようになっているね。
財務省の指導で、銀行も出来るだけ物を持つな、と。だから自分たちも顧客に「少し処分されたらどうですか」「土地・不動産はあまりたくさん持つ時代じゃないですよ」と指導する。
渡辺氏)ついでに言えば、「路線価」については金融機関もサンプルとしか見ていませんよね。
一般的には現状の8割が路線価と言われますが、実際の取引、特に小規模の宅地については、参考にすべきではないと思います。岡山では最も高級住宅街と言われる清心町、伊福町などでは路線価の倍の取引と、実際とはかけ離れている。逆もあって、地区により差があります。
福嶋)「公示価格」のほうが実際に近いといわれているけれど、これもタイムラグがものすごくあるので、あまり当てにならないしね。

―― 地価が下がるとすると、例えばマイホーム取得は、急がない方が良いのでしょうか?
渡辺氏)確かに地価は下がる傾向です。でも、建築コストがすごく上がってきている。それも、月ごとに上がるんです。
造船なんかもそうなんですが、一見景気が良く見えても3~4年前の契約で資材を納品させられているから、下請けは3倍赤字になっている。
だからこれからは契約の仕方も、契約した時に価格が決まるというのではなく、もし材料が値上がりしたらその分を価格改定してもらうというやり方で、と業界は言い始めています。今の状況では、建築期間の長い案件はそういう契約をしないと受けた方が持たないんですね。
福嶋)家みたいな工期が短いものでも、間取りを決めたりの準備に3ヶ月、建築確認に2ヶ月、ひょっとして建築確認のやり直し・・なんてことになって半年くらい先になるとすると、最初銀行に相談して3,000万くらいのローンにしましょうと言っていても、とてもじゃないという事になりかねない。
渡辺氏)実は今年、大手ハウスメーカーが6月の値上げを発表したんですよ。そうしたら岡山も倉敷も5月は過去最高の受注、6月は過去最低の受注数だったそうです。
どれだけ値上げがハウスメーカーに影響しているかっていうことなんですが、今までハウスメーカーが「値上げします」など聞いたことがありません。なんとか工夫してきたんですよね。でも、もう工夫の限界。
―― では、マンションはどうでしょう?
福嶋)僕は広島にいたりしたけれど、岡山は特徴的だと思う。
普通は便利な所、幹線道路の近くとか駅の付近が絶対なんですよ。でも例えば東岡山の駅の周りがそう発展しているようには思えない。
マンションに関してもそうで、田んぼの真ん中とかとんでもない所にぼーんとマンションを建てて、しかも売れるのは岡山の特性。
それから、駅前の筋、便利な所のマンション群。すぐに完売しましたが、実はよそに家がある人が多い。湊あたりに家があるけどマンションを買って、家の方が簡単に売れると思っていたら全然売れない。ところが駅前に半年ほど住んでみたら、一軒家のようには誰も訪ねてくれないというので、結局元の場所に戻ってしまう人も多いようです。
渡辺氏)かなりいい場所のマンションでも、これからどんどん物件が出てくると思いますよ。
ただ、そういう所はオーナーが住んでないことが非常に多くて、転貸、転貸でどこの誰が住んでいるかも分からない。環境については買い手や借り手側も十分注意する必要がありますね。
―― と言いますと?
渡辺氏)そもそも岡山の不動産会社は環境というものに着目してこなかったんです。
岡山では物件説明書でも公共交通機関の項目は必須でないし、以前は最寄のコンビニエンスストアまでの距離も書かなかったほど。
売買の物件でさえ、その付近を歩いて回って環境まで調べている業者はほとんどいない。情報供給は自己責任という考え、それは都会と違う点です。
こんな話を聞いたんですが、岡山の某地区で30区画以上の結構大きい団地を作った際に、岡山市からの指導で団地内にごみステーションが作れなかった。買う時にはごみステーションはあまり意識しないかも知れませんが、生活には大切なことですよね?その団地では、ごみステーションまで300メートルも歩かないといけないという事が住んでみるまで分からなかったというんです。

渡辺氏)さらに賃貸物件になると、プライバシーとか廊下をきれいにとか、括りが全然無いですからね。環境とかどんな人が住んでるとか、一切関係ない。例えばその部屋というのでなくても、そのマンションの駐車場で何か事件があった。売買なら重要事項でも、賃貸だったら気味悪がられることは言われないかも知れない。でも知ってたら借りない、というのはありますよね。
―― インターネットの普及で、個人がプロ並みの情報を持つことも出来る時代ですから、その点も踏まえて情報収集が必要ということでしょうか。
渡辺氏)スピードと情報供給という点では今の時代のやり方も正しいと思う部分は多いです。ただ実のところ最近では、店頭営業を中心とする業者は赤字の会社が多くて、不動産業者にとっては自分で自分の首を絞めている場合が多いのかな、と。
昔は部屋探しだったら4、5軒見たら大体決まっていました。でも今は4、5軒見たら、「じゃあ別の会社でも4、5軒見てみよう。」
福嶋)情報が多すぎるのかな。
渡辺氏)そう、情報が混沌としていますね。
先日、おとり広告をネットで打っていて公正取引委員会から排除命令を出された業者がありましたが、その後も岡山では続けていたんです。新築、家賃も安い、実は満室でありもしない物件なんだけれど、ある程度華やかにしないとお客さんが寄ってこない。それくらい背に腹かえられない状況になると、お客様の立場に立ってということではなくなってしまう。
―― 一見情報が溢れているように見えながら、良い情報ばかりではないと。
渡辺氏)業者向けの情報でさえ、そういう傾向があります。情報の9割は、ちゃんと見ればとてもじゃないけど・・という物件をきれいに加工した情報。
昔は不動産屋が何か言ってきても千に三つしかまともなものはない、「千三つ」などとよく言われていましたが、今のネットの環境が逆にそれに近いものになってきているのでは、という気がします。仲介専門のHPなら3,000件くらいは物件を載せている所もありますが、それを自分の目で確かめるしかないというのが現状。消費者側も借りる責任、買う責任が非常に重要になってきています。
―― ではコンサルタント的視点から今後の不動産を見るとどうでしょうか。
福嶋)大きな流れの中で、ご存知のように石油、金、それからトウモロコシや大豆など食品の価格が上がってきて、インフレの兆候が出ている。インフレが本当に起こってくる場合には不動産が実物資産として価値が上がってくる場合があります。ただし需要があるかということ。根本的には少子化問題です。長男と長女しかいない時代になったらそんなに新しい需要はないでしょう。どんどん団地を作ったり、マンションを建てたりという時代は終わりました。
これからの時代は今までのように持つだけではダメです。利用することに長けていないと。個人的には、新しい建築基準に則したような物件なら値打ちが上がってくる可能性もあると感じています。
―― 多方面で活躍されている渡辺社長ですが、今後力を注がれる予定のお仕事について教えてください。
渡辺氏)現在ハウスメーカーさんも取引がありますが、よりデザイン性の高い設計事務所さん数社がメインの取引先ということで、基本的には動向営業という形でお仕事をさせていただいています。土地をお世話できたものに、誰が見ても「あ、すごくいいね!」という建物を建てていくというような結果が残る仕事というのは、これからも続けていきたいなと思っていますね。
☆渡辺社長、ありがとうございました☆
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